論文発表

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有機単結晶トランジスタの大気中水分子による動作不安定性の制御に関する論文が出版されました。

修士課程の学生だった濱比嘉君との共同研究の成果が出版されました。

Yuto Hamahiga and Ryo Nouchi*:
“Effects of source/drain electrode thickness on water-induced instability of laminated organic single-crystal field-effect transistors”
Org. Electron. 121 (2023) 106866.

有機半導体単結晶を貼り付けて作製するボトムゲート・ボトムコンタクト型の電界効果トランジスタにおいて、その動作不安定性の主因となる大気中の水分子の侵入経路を電極端に存在する空隙と見極め、ソース・ドレイン電極厚さを変えた調査を行いました。その結果、電極厚さを増すと測定環境中の水分子量増大時と同じ変化を示すことから、電極厚さを変えることで水分子起因の動作不安定性(ヒステリシス現象)が制御可能であることを明らかにした成果です。水誘起動作不安定性の要因として、これまでによく知られているゲートバイアスストレスによる電流減少のほかに、電極仕事関数の変調に伴う電流増大、絶縁体界面での水分子配向による電流増大を考慮することで、電流変化に伴って生じるヒステリシス現象の模擬にも成功しています。